防水工で“儲かる”って本当?リアルな収入と稼ぐための条件

「防水の仕事って、儲かるんですか?」という問いは、これから業界に入ろうとする方からよく聞かれるものです。ネット上では「未経験でも月収30万以上」「独立すれば年収1000万も夢じゃない」といった情報が散見され、希望と同時に不信感や疑問も湧いてくるのが正直なところでしょう。


こうした言葉の裏にあるのは、「実力次第で稼げる世界」という防水業界の特徴です。たしかに、一定の技術や信頼を得た人が高収入を実現している事例はあります。ただし、それは“誰でも”“すぐに”達成できるものではありません。むしろ、最初は苦労の連続であることの方が多いのです。


本当に防水屋は儲かるのか。その問いに答えるには、現実の働き方や評価のされ方、稼ぐために必要な条件を冷静に見ていく必要があります。ここでは、うわべの数字に惑わされず、防水職人として働く中で“どこに稼ぎのタネがあるのか”を具体的に掘り下げていきます。




現場次第で月収50万円超も?経験が収入に直結する世界

防水職は、建設業の中でも専門性が高く、技術や信頼が直接収入に反映されやすい職種の一つです。実際に、経験を積んだ職人や一人親方のなかには、月収50万円を超えるような人も珍しくありません。繁忙期にはさらに上がることもあり、稼ぎたい人にとっては大きな魅力といえるでしょう。


とくに重要なのが「信頼される仕事」を地道に積み重ねることです。一度信頼を得た元請けや現場監督からは、継続して仕事を回してもらえるため、収入が安定しやすくなります。また、天候の影響を受けにくい室内や地下の工事などに対応できれば、年間を通じて働ける範囲も広がり、収入も安定化します。


資格の有無や施工できる工法の種類も、収入に大きく関わります。ウレタン防水、シート防水、FRP防水など、複数の工法を扱える職人は、より多くの案件に対応できるため、選ばれる機会が増えるのです。また、施工管理や職長経験がある場合には、手当や現場責任者としての報酬が上乗せされるケースもあります。


さらに、現場ごとの単価交渉や、自分の作業スピードを上げる工夫なども収入アップに直結します。防水は量より質が求められる工種ではありますが、段取りや材料管理を工夫することで、効率的に施工をこなすことも可能です。


つまり、「経験」「信頼」「技術」の3つを着実に積み重ねた人は、自然と収入も上がっていく――それが防水職の世界のリアルです。




最初はきつい、儲からない。下積みの覚悟はあるか?

とはいえ、最初から高収入を得られるわけではありません。むしろ新人のうちは、収入面だけを見ると「本当にこれで大丈夫か?」と感じる場面もあるでしょう。日給は地域や会社によって差はありますが、未経験者の場合は1万円前後からのスタートが多く、月収にしても20万円に届くかどうかが現実的なラインです。


この時期はとにかく「覚えること」が多く、作業スピードも遅いため、任される仕事も限定的です。暑さ寒さの厳しい中で、道具の準備や片付け、材料運びなどのサポート業務に徹する日々が続き、「これがいつまで続くんだろう」と思う人も少なくありません。加えて、天候に左右されて工期が延びると、その分だけ収入にも響いてくることもあります。


もう一つの現実は、「収入が安定しない時期」があるということです。特にフリーランスや一人親方として働く場合、仕事がない期間の収入はゼロになります。保険や経費もすべて自己負担になるため、ある程度の蓄えがないと不安定な状態になりがちです。


さらに、最初は工具や作業服、移動手段など、必要な出費も多く、収入とのバランスが取れるようになるまでに数ヶ月〜1年ほどかかることもあります。その期間を乗り越えるには、「すぐに稼げる」という幻想ではなく、「じっくり育てる」という意識が不可欠です。


稼げる職業であることは間違いありませんが、その裏には努力と下積みの積み重ねがある。これを理解しているかどうかで、その後の見え方は大きく変わってきます。




「黙々とやれば稼げる」は誤解?必要なのは考える力

防水の仕事は、単純作業のように見られがちですが、実際には“考えて動く力”が求められる仕事です。「指示通りにやっていれば大丈夫」と思って現場に入ると、思わぬところでつまずくことがあります。それはなぜかというと、現場は常に動いているからです。天候、工程の前後、他業種との兼ね合い――そういった変化に柔軟に対応できる人ほど、重宝されていきます。


たとえば材料が足りなければ、すぐに段取りを変える判断が必要ですし、次の工程に支障が出るようなら、周囲との連携を取る必要もあります。つまり、「作業をするだけ」ではなく、「現場全体を見ながら動ける人」こそが、信頼を勝ち取るのです。そしてその信頼が、より大きな案件や高単価の仕事へとつながっていきます。


また、稼げる職人の多くは、自分の作業に常に改善の視点を持っています。道具の管理、材料の無駄を減らす工夫、移動や片付けの時間短縮。こうした“小さな工夫”の積み重ねが、結果として収入の差につながります。逆に、「指示待ち」「ルーティンだけ」の姿勢では、周囲からの評価が上がらず、いつまでも単価の低い仕事にとどまってしまうのです。


さらに、コミュニケーション能力も見逃せない要素です。話し上手である必要はありませんが、報告・連絡・相談を的確に行えるかどうかは、現場での信頼に直結します。新人のうちにこの習慣が身につくと、その後の成長スピードも格段に早くなります。


つまり、「稼ぐ力」は、手を動かす力だけではなく、考える力、動く力、伝える力の総合力で決まるということです。技術職である以上、経験がモノを言うのは当然ですが、それを活かす“頭の使い方”次第で、大きな差がつく世界なのです。

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稼げる人は、現場の先に何を見るか?独立と法人化の選択肢

一定の経験と信頼を積んだ職人が次に目指す道のひとつが「独立」です。一人親方として元請けと直接契約を結び、案件ごとに報酬を得るスタイルは、自分の裁量で仕事量を調整できる反面、すべての責任も自分に降りかかってきます。営業、見積もり、経理、保険――これらを含めてこなせるかどうかが、安定した経営の分かれ道になります。


さらにその先には、法人化という選択肢もあります。職人として現場に立つだけでなく、スタッフを雇い、チームで現場を回す体制をつくる。こうなると収入の桁が変わるケースも出てきますが、そのぶん管理の難易度も上がります。つまり、「稼ぐ」という言葉の裏には、それに伴う責任やリスクも存在するということです。


防水業界は、公共工事や大型施設の需要も安定しており、うまくルートをつかめば継続的な受注が見込める分野でもあります。法人として信頼を得ることで、自治体やゼネコンとの長期的な取引も可能になります。このフェーズに入ると、もはや“職人”ではなく“経営者”としての視点が求められるようになります。


そのためには、技術や経験だけでなく、「どんな働き方をしたいか」を明確に描くことが大切です。ずっと現場で手を動かしていたいのか、人を育てる立場になりたいのか、会社をつくって地域に根ざした仕事をしたいのか。それによって、今すべきことも変わってきます。


将来の選択肢を広げたいのであれば、目の前の仕事を丁寧にこなすことが、最も確実な近道です。その積み重ねが信頼を生み、やがて“稼げる人”としての道につながっていくのです。




儲かるかどうかは、自分次第。でも夢は描ける仕事

防水の仕事は、確かに「儲かる」可能性のある職種です。ただし、それは誰でも自動的に手にできるものではなく、自分で道を切り拓いていく姿勢が求められます。実力を積み重ね、周囲からの信頼を得ながら、一歩ずつ進んでいく――その先にあるのが、“稼げる”という結果なのです。


ネット上の数字だけを見て飛び込んでしまうと、現実とのギャップに戸惑うこともあるでしょう。けれど、きちんと準備をし、覚悟を持って進めば、将来的に大きなやりがいや収入を得られる土壌は整っています。


自分には何が向いているのか、どう働きたいのか。それを考える手がかりとして、「儲かるかどうか」の視点は無視できない要素の一つです。ただ、それを判断するのは、あくまで現場に触れた自分自身です。

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