求人サイトでよく目にする「防水工」「シーリング工」といった仕事。気にはなるけれど、どんな作業をするのか、将来食べていけるのか、漠然とした不安を抱えている人も多いかもしれません。建設現場の仕事というと、きつい・危ない・長続きしないというイメージが根強く残っているのも事実です。ただ、その中でも「防水屋」と呼ばれる職種は、建物の寿命や安全性を守るうえで欠かせない専門分野のひとつ。決して派手さはありませんが、建設業界のなかでも比較的安定性が高く、技能を積めば着実にキャリアアップしていける道でもあります。未経験から挑戦する人も多く、学歴や経歴にとらわれず評価される環境が整っている点も特徴です。「そろそろ手に職をつけたい」「体を動かして働きたいけど、将来が不安」という方にこそ、知ってほしい仕事。それが防水屋です。この先のセクションでは、防水屋の仕事の中身や、向いている人、求人を選ぶときのポイントまで、実際の現場目線で丁寧にひも解いていきます。
見えない部分を守る仕事、防水屋の役割とは?
防水屋の仕事は、建物を水から守ることに特化した専門職です。見た目にはわかりにくい部分も多いですが、その役割はとても重要です。たとえば、屋上やベランダ、外壁のすき間など、雨水が入り込みやすい箇所を専用の材料でしっかり覆い、内部構造や配線が腐食・劣化しないように守る。こうした地道な作業が、建物の寿命を何年も延ばします。
防水工事にはいくつかの種類があります。もっとも一般的なのが「ウレタン防水」で、液状の樹脂を塗り重ねて膜を作る方法です。ほかにも、シート状の素材を貼る「シート防水」や、軽量で丈夫な「FRP防水」などがあり、現場の条件や予算によって使い分けられます。また、防水とあわせて「シーリング」と呼ばれるすき間埋めの作業や、塗装・補修作業を同時に行うこともあります。
塗装工やシーリング工との違いは、防水屋が「防水性の確保」を最優先に考える点です。塗装は外観の美しさと保護、シーリングはひび割れの補修や隙間の充填が主目的ですが、防水工はそのどちらにもまたがりながら、雨水の侵入を防ぐ“最終ライン”の役割を担っています。だからこそ、一つひとつの工程に丁寧さが求められ、同時に高い技術と集中力も必要とされます。
作業はチームで進めることが多く、経験豊富な職人が新人をしっかりサポートしながら現場に入ります。最初は材料の準備や掃除などの補助から始まり、道具の使い方や施工手順を学んでいきます。体力的にきつい日もありますが、道具に頼れる場面も多く、慣れてくれば無理なく続けられるようになります。
資格なしでもOK?防水屋として働き始める条件とは
防水屋の仕事に就くために、特別な資格や経験が必要かといえば、必ずしもそうではありません。実際、多くの現場では未経験者を受け入れており、「一から育てる」前提での求人が多く見られます。学歴や職歴に左右されず、人柄や意欲を重視する傾向が強いのが特徴です。特に20代〜30代の若手が現場で少なくなっていることから、「やる気があるなら歓迎」というスタンスの企業も少なくありません。
では、どんな準備をしておけばよいのでしょうか。まず、普通自動車免許を持っていると歓迎されることが多いです。現場へは社用車や乗り合わせで向かうケースが多く、移動の面で免許が役立つからです。ただし、必須ではない場合もあるので、応募時に確認するとよいでしょう。服装や道具に関しては、初期費用を企業が負担してくれるケースもあります。
働き始めてからは、先輩職人の指導を受けながら、現場での作業を少しずつ覚えていきます。最初は防水材の運搬や掃除、養生(作業前の保護作業)などの補助が中心で、いきなり難しい仕事を任されることはありません。作業内容を間近で見ながら、徐々に手を動かしていくスタイルです。
経験を積んでいくと、「防水施工技能士(国家資格)」の取得を目指すこともできます。この資格は一人前の証とされ、技術力を証明するうえでも評価されます。実務経験を一定年数積むことで受験資格が得られるため、現場での経験そのものがキャリアアップにつながるのです。
また、資格の取得や研修参加を支援する会社も増えており、働きながら学べる環境が整っているところを選べば、長く続けやすい仕事といえるでしょう。
防水屋の求人、ここを見れば“働きやすさ”がわかる
防水屋の求人を探すとき、「未経験OK」や「高収入可能」といった言葉が目を引きますが、本当に見るべきなのは、その裏にある“働きやすさ”の中身です。給与だけで飛びつくのではなく、長く安心して働ける環境かどうかを見極めるためには、いくつかのチェックポイントがあります。
まず注目したいのが、給与体系です。日給制か月給制か、残業代や各種手当が含まれているかどうかを確認しましょう。日給制は働いた日数に応じて収入が変動するため、安定志向なら月給制の職場の方が合っている場合もあります。また、昇給の仕組みや賞与の有無なども重要です。明確な基準がある職場では、モチベーションにもつながります。
次に、現場のエリアや移動手段。勤務先が遠方に偏っていると、移動時間や体力の負担が大きくなります。地元中心の現場が多い企業や、直行直帰が認められているかどうかも確認すると良いでしょう。
教育体制にも注目です。入社後すぐに放任されるのではなく、先輩が付き添いながら教えてくれる職場は、未経験者でも安心して仕事を覚えられます。また、資格取得支援や道具の貸与など、仕事を覚えるうえでの負担を減らす工夫がある企業は、働き手の成長を真剣に考えている証拠です。
さらに、協力会社との関係性や社内の雰囲気も見逃せません。現場仕事はチームワークが大切なので、協力会社との連携がスムーズかどうか、職人同士の関係性が良好かといった点も、求人情報や企業HP、面接時の雰囲気から読み取ることができます。
表面的な条件だけでなく、こうした“見えにくい部分”を丁寧に読み解くことで、自分に合った職場を見つけやすくなります。
雨から街を守る仕事、防水屋のやりがいとは
防水屋という仕事は、目立つことは少なくても、人の暮らしを支える大切な役割を担っています。建物の屋上や外壁、ベランダなど、雨風の影響を直接受ける場所に施工を施し、水の侵入を防ぐ。この作業が適切に行われていなければ、内部に湿気がたまり、カビや腐食、漏電などの原因になります。つまり、防水工事は建物の安全性や快適性を根本から支えている仕事なのです。
やりがいのひとつは、自分の手で仕上げた現場が“形として残る”こと。完成した防水層は人の目に触れることは少ないかもしれませんが、「あの建物の寿命を延ばしたのは自分たちだ」という誇りは、他の仕事ではなかなか得られないものです。施工後にお客様から「雨漏りが止まって助かった」と声をかけられたときの達成感は、何よりの報酬になることもあります。
また、技術を積み重ねていける点も大きな魅力です。現場によって使用する材料や工法は異なり、天候や気温によって仕上がりも左右されます。毎回が同じようでいて違うからこそ、現場を重ねるごとに腕が磨かれ、できることが増えていきます。そうして信頼を積んでいけば、やがて現場を任されたり、後輩を指導する立場に立てることも。地道な努力がきちんと評価される世界です。
向いているのは、細かい作業にコツコツ取り組める人、体を動かすのが好きな人、そして何より、現場の仲間と協力して動ける人です。専門性が高いからこそ、未経験者が活躍するには、こうした素直な姿勢やチーム意識が何より大切になります。
実際の仕事内容や技術の詳細について興味がある方は、以下のページで業務の様子を確認してみると、よりイメージが深まるはずです。
→ https://www.sisei-inc.jp/business
未経験でも始められる防水屋の仕事、最初の一歩を踏み出すなら
防水屋という仕事は、建物を水から守るという社会的にも意義のある役割を担っています。特別な資格や経験がなくても始められ、現場での実践を通じて確かな技術を身につけていける職種です。チームで支え合いながら働く環境が多く、人柄や姿勢がしっかり評価される点も、多くの人にとって安心できるポイントでしょう。
求人を見るときは、給与や条件だけでなく、教育体制や現場の雰囲気といった“続けやすさ”にも目を向けることが大切です。将来に向けて手に職をつけたいと考えている方にとって、防水屋という選択肢は、堅実で成長の実感が得られる道かもしれません。
もし現場の雰囲気や仕事の具体的な様子をもっと知りたいと感じた方は、企業に直接相談してみるのもひとつの手です。