防水屋は将来性がある?10年後も必要とされる仕事かを専門家が解説

現場仕事に興味はあるけれど、せっかく働くなら長く続けられる仕事を選びたい。そんなときにふと目に入る「防水工」の求人。でも、実際のところこの仕事には将来性があるのか、自分に向いているのか、不安になるのは自然なことです。特に未経験からスタートを考える人にとっては、「今は募集があっても、10年後はどうだろう」といった疑問がついて回るでしょう。


しかし、防水屋という職種は、時代の変化にも左右されにくい“建物に必要な仕事”のひとつ。新築はもちろん、年数が経った建物には必ず修繕や改修のタイミングが訪れます。しかも防水処理は見えない部分の施工であるため、失敗が許されない責任ある作業。だからこそ、一定の技術を持つ職人が常に求められているのです。


この先のセクションでは、防水屋の将来性を「需要」「業界の動き」「人材の課題」という3つの軸から深掘りし、働く側にとっての選択肢や可能性を整理していきます。




建物がある限り、防水工事は必要不可欠

防水工事のニーズは、建物が存在し続ける限り途切れることがありません。新築住宅やマンション、商業施設においては、屋上・バルコニー・外壁などにあらかじめ防水処理を施す必要があります。また、10〜15年ごとに再施工が必要とされるため、築年数が経った建物では定期的な改修需要が安定的に発生します。


日本は雨が多く湿気も高い気候であるため、防水対策は暮らしの安全に直結する重要な工事です。たとえば、漏水による内装の腐食や、建物構造へのダメージを防ぐ役割は、誰にでもわかりやすい実益があります。だからこそ、ビルやマンションの管理会社や建設業者からも、確かな技術を持った防水業者への依頼が絶えません。


さらに、近年ではゲリラ豪雨や台風といった異常気象の影響により、防水性能への関心はますます高まっています。住宅性能の向上やリノベーション需要といったトレンドも相まって、防水工事は「減ることがない」どころか、むしろ増えている分野といえるでしょう。


こうした背景から、防水屋という職種は流行に左右されにくく、長期的に安定した仕事に就きたいと考える人にとっては、堅実な選択肢のひとつです。




防水だけじゃない?求められるスキルの幅が広がる理由

かつての防水工は、決められた防水材を使い、施工マニュアル通りに仕上げることが主な役割でした。しかし、近年は現場ごとに求められる対応が細分化され、より柔軟なスキルが必要とされています。たとえば、防水とセットで行われることが多い「シーリング(隙間の充填)」や「塗装」「下地補修」なども任されるケースが増えており、いわば“マルチに動ける現場職人”への期待が高まっています。


この背景には、元請業者や管理会社が「ひとつの会社にまるごと任せたい」というニーズを持っていることがあります。防水工事だけでなく、付随する作業まで自社で完結できる体制を持っていると、工程管理がスムーズになり、品質にも一貫性が出る。そのため、防水屋であっても、周辺作業を理解している人材が重宝されるのです。


もちろん、すべてを最初からできる必要はありません。入社後に経験を積みながら幅を広げていくことができ、やがて現場リーダーや職長としての道が開けていきます。ひとつの技術にとどまらず、現場を支える“総合力”を持った人材が評価される時代において、防水屋の仕事もまた、単なる職人業から一歩進んだ専門職としての位置づけに変わりつつあります。




将来性の裏側にある「後継者不足」という現実

防水工事の仕事には安定した需要がありますが、それだけに課題も浮き彫りになっています。そのひとつが、職人の高齢化と後継者不足です。建設業全体で同じような傾向がありますが、防水業界も例外ではなく、現場の中核を担ってきたベテラン世代が定年を迎える一方、若手がなかなか入ってこないという構造的な問題を抱えています。


このまま人材が不足すれば、技術の継承や工期の確保が難しくなり、施工品質にも影響が出かねません。そのため、今後は「ただ作業ができる人」ではなく、「周囲と連携しながら仕事を進められる人」や「技術を学び続けられる姿勢を持った人材」がより強く求められていくことになるでしょう。


一方で、こうした課題があるからこそ、若手にとっては大きなチャンスでもあります。たとえば、防水施工技能士といった国家資格を取得しておけば、現場での信頼度が高まり、将来的には現場の責任者や施工管理への道も開けます。また、チーム内での役割が広がることで、施工以外の業務に関わるチャンスも増えます。


業界としては、人材育成に力を入れる企業が徐々に増えており、OJTを基本にした教育体制や、外部講習への参加支援などの仕組みが整ってきています。こうした動きは、未経験者にとっての入り口を広げるだけでなく、技術者としての成長の道筋を明確にするうえでも大きな意味があります。


防水屋の将来性は、こうした“人が足りない”という現実と表裏一体です。そのなかで、今から一歩踏み出すことが、将来の安定と専門性のあるキャリアに直結する選択となり得ます。




長く働ける防水屋を見極める「3つの視点」

防水屋の仕事に将来性があるとしても、それを実感できるかどうかは、どんな職場を選ぶかにかかっています。長く働き続けたいと考えるなら、求人票の条件面だけでなく、次の3つの視点で職場の実態を見極めることが重要です。


ひとつ目は、育成の姿勢があるかどうか。未経験者を歓迎しているだけでなく、入社後にどう教えていくかが明確になっている職場は安心感があります。具体的な指導体制や、成長の段階に応じた業務内容が用意されているかを確認しましょう。


ふたつ目は、資格取得やスキルアップの支援があるか。防水施工技能士や高所作業の安全教育など、現場で役立つ資格は複数あります。それらを「取れたらいいね」で終わらせるのではなく、受験費用の補助や、先輩が勉強のサポートをしてくれる環境があると、意欲的に取り組めます。


三つ目は、施工実績の多様性です。戸建住宅だけでなく、マンションや公共施設、商業施設など幅広い案件に関われる職場は、経験値が自然と広がります。いろいろな現場を知ることで、自分の強みや適性も見えやすくなりますし、仕事に飽きにくくなるというメリットもあります。


このように、目先の条件ではなく、自分が成長できる土壌があるかを見極めることが、防水屋という道を長く歩んでいくうえで欠かせません。

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防水屋の将来性は「自分次第で広がる」時代へ

これまで見てきたように、防水屋はただの肉体労働ではなく、専門性と安定性を兼ね備えた職種です。建物がある限りなくならない仕事であり、さらに異常気象や建物の高寿命化が進む今、社会からの期待はむしろ高まっています。一方で、職人不足や技術継承の課題も抱えており、その分、若い世代が主役になれる土壌が整いつつあるとも言えます。


大切なのは、どこで・どう成長するかという視点です。ただ作業をこなすのではなく、学びながら技術を磨いていけば、リーダー職や施工管理への道も開けます。つまり、防水屋という仕事の将来性は、与えられるものではなく、自らの行動によって“育てていける”ものなのです。


もしこの仕事に興味を持った方は、一度現場の雰囲気や職人たちの声に触れてみるのも一つの手段です。将来の働き方を考えるうえで、きっと参考になるはずです。

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